第十章 錠

紗奈が目を覚ますと、天井は白く、真上からライトが降り注いで、少し眩しかった。二度ほど瞬きをして、ようやく視線を横に向けた。

ベッドの傍らに男が座っていた。見覚えのない顔だった。三十代前半、眼鏡をかけていて、研究所の身分証を胸に下げたまま、うつむいてスマートフォンを見ていた。

気配に気づいたのか、彼が顔を上げた。

「目が覚めましたか。」

紗奈は彼の胸元の身分証に目をやった。

周防賢。

聞き覚えのない名前だった。ただ、所属欄には「国立感染症研究所」、その下に「特別研究員」と記されていた。

「あなたは……」

「周防です。」彼は言った。「昨夜、倒れているのを見つけて、ここへ連れてきまし...

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