第一百零四章 病室の来客

病室が一条様の足音が消えた後、完全な静寂に戻った。

廊下の音が次第に遠ざかり、足音が散った残響も静けさに飲まれた。紗奈は動かなかった。扉に背を向けて仰向けに横たわり、目を開けて天井の黙った蛍光灯を見つめていた。

灯管が極めて微かな唸り声を発していた。単調で、一定だった。

解熱後に残った脱力感が四肢に何かを乗せたようで、寝返りも困難だった。このまま横たわり、頭の中で当てもなく自分の状況を数えた。被疑者の身分。保留にされた研究。一条財閥にまで及んだ世論の波。

どれもが、胸に加わる重圧だった。

目を閉じた。


廊下の外からハイヒールの音が聞こえた。急がず遅れずのリズムだった。

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