第十一章 深夜急診

ドアが施錠されているのに気づいた瞬間、一条様の目が鋭くなった。

スーツのポケットから鍵束を取り出す。

別荘の全室備用鍵がついている。入居初日から携帯するようにしていた。

ドアが開いた。

部屋の灯りは消えていた。カーテンが引かれ、わずかな隙間から月の光が差し込んで、床に冷たい白い帯を作っていた。

ドアを押し開けた瞬間、気づいた——酸っぱく腐ったような、嘔吐物の残り香。

視線を下に落とす。

舞が子供用ベッドと壁の隙間の床に丸くなっていた。膝を胸まで引き寄せ、額の髪が頬に張り付いて、月明かりの中で小さな顔が薄紙のように白かった。

一条様は身を屈め、素早く額に指を当てた。

熱い。

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