第二十九章 黄色いスカートの裾

夜の十一時、病棟の廊下は蛍光灯の最も暗い設定で保たれていた。

短い悲鳴が廊下の奥から聞こえたかと思うと、エアコンの低い唸りに飲み込まれ、最初からなかったかのように消えた。

紗奈は顔を上げた。

ソファにいるのは舞だけで、のあの姿がない。

素足で床を踏み、記憶の中の声を辿るように走り出した。

廊下の灯りは薄暗く、紗奈は階段の踊り場まで駆けつけ、視線を下へ走らせた——

七段目。

のあが横向きに蜷くまっていた。こめかみが割れ、細い血の筋が髪の生え際を伝い、睫毛は動かない。

紗奈の喉が、何かに塞がれたようになった。

階段を転がるように駆け下り、膝が段の角にぶつかり、足の甲が擦れた。それ...

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