第六十八章 鎌倉別邸の問答

第六十八章 鎌倉別邸の問答

一条様が鎌倉の別邸に車で着いたのは、午後の日が傾きかけた頃だった。

田中さんが客間へ案内し、千代ばあ様が和室でお待ちですとひっそり告げて、下がった。

一条様は廊下でわずかに足を止めた。障子が一筋開いていて、その奥に清子様がすでに来ていた。西園寺さんと低く言葉を交わしており、二人の表情に何か共有されたものの気配があった。

一条様は中へ入った。

清子様は息子の姿を見るなり向き直り、声を低く抑えながら急いた口調で言った。「千代様がどれほど心配されているか、わかっているの?美咲の話、あなたはどういうつもりなの?」

西園寺さんは脇に立ち、睫毛を伏せて、指先でそっと...

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