第八章 嘱託職員

紗奈はUSBメモリを掌に握り、二秒かけて力を抜いてから、外へ出た。

姜子さんが廊下の壁に寄りかかって待っていた。扉が開くと、すぐに駆け寄ってくる。

「結果は?」

「断られた。」

「理由は?」

「職歴の空白。近年の実験室経験なし。」紗奈は一拍置いて、続きも言い切った。「今、研究所には新人を育てる時間も余裕もないと。」

姜子さんの顔色が沈む。何か言おうとしたが、紗奈が先に口を開いた。

「喉、渇いた。」

給湯室は廊下の角の奥、狭い空間。窓際に誰かの観葉植物が置いてあって、葉が萎れている。ずいぶん水やりをされていないらしい。

紗奈は湯を注ぎ、水面から立ち上る細かな気泡を見下ろす。

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