第九十五章 どちらを選ぶか

病室に約三秒の完全な静止があった。

一条様のあの言葉が落ちた後、空気が凝固した。

黒瀬さんが頭を下げ、視線を紗奈に落とした。顔色はすでに血の気がなく、首の暗紫の絞め跡が病室の灯りの下で触目に映え、身体を支える手の指の節が白くなっていた。立ったまま、風に吹かれながらまだ倒れていない竹のようだった。

黒瀬さんが視線を彼女から戻し、顔を上げて一条様を真っ直ぐ見た。

「一条様。」声は高くなく、迂回する意志を完全に失った直線的な響きがあった。「今ここに立ちはだかって、留置室から出たばかりで怪我を負った人を、このまま立たせて交渉に付き合わせるつもりですか。」

少し止まった。

「それとも、そうす...

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