第7章

二年後、白鷺町の心理カウンセリングクリニックの大きな窓から、暖かい日差しが差し込んでいた。月は革張りの椅子にゆったりと背を預け、向かいに座る患者が不安の症状について話すのを熱心に聞いていた。

「月先生、先生の治療法は本当に私の人生を変えてくれました」女性の目は、感謝の涙で潤んでいた。「やっと普通に眠れるようになったんです」

月は穏やかに微笑んだ。「不安は悪いものではありません、沙羅さん。私たちを守ろうとする脳の働きなんです。大切なのは、それを克服しようとするのではなく、上手に付き合う方法を身につけることですよ」

彼女の声は落ち着いて自信に満ちており、二年前の神経質な震えは微塵も...

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