第101章 彼女を連れて行く?

美玲は全身がびくりと強張った。

虚ろな瞳が絶望に見開かれ、干からびた指が身にまとった上着を必死に掴む。

「な……中村哲也……?」

「俺だ」

中村哲也は片膝をつき、目の前の――もはや人の形すら保てていない女を見つめた瞬間、目の縁が熱くなった。

触れられない。

身体のどこにも無事な場所がない。鞭の痕、紫色の痣、汚水に浸かって白くふやけた傷口――目を背けたくなるほど痛々しい。

「阿部岳斗の野郎……」中村哲也は奥歯を噛みしめ、拳を握り潰すように固めた。

「中村哲也……!」美玲が突然、壊れたみたいに身を起こそうとする。

もう何も考えられなかったのだろう。彼女は中村哲也の腕に縋りつき、...

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