第103章 つまらなさすぎる

美玲は、いっさい声を上げなかった。

眉ひとつ、動かない。

ただ機械みたいに呼吸を繰り返し――まるで、静かに死を待っているかのようだった。

その瞬間、阿部岳斗の胸の底から、強烈な嫌悪と退屈がこみ上げる。

つまらない。

あまりにも、つまらない。

魂の抜けた死体を弄んだところで、快感なんて欠片も湧いてこない。

阿部岳斗は乱暴に手を引いた。

支えを失った美玲の身体が、壁伝いにずるりと滑り落ちる。

冷たい床に崩れ、ちいさく丸まったまま、ぴくりとも動かない。

阿部岳斗はスーツのポケットから濃い灰色のハンカチを取り出した。

指先をゆっくり拭いながら、視線には侮蔑と冷淡さだけが宿ってい...

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