第105章 目が見えない愚か者

「陽様の手のひらが、針でぐちゃぐちゃに刺し荒らされていて……死ぬまで、いっさい離さなかったんです……。私がご遺体を整えたときに気づきました。でも、旦那様には言えなくて……怖くて……本当に、怖くて……」

美玲の全身が、激しく震えだす。

陽――自分の、まだ四歳の子。

崖から突き落とされた瞬間、あの子はどれほど絶望し、どれほど怯えたのだろう。

陽は必死に抵抗し、小さな手で犯人の胸元の服を掴み、死にもの狂いでこのブローチを引きちぎったのだ。

事故なんかじゃない。

これは、岩崎春菜が自分の手で陽を突き落とした、動かぬ証拠だ。

「おい! ジジイ! そこでしゃがんで何してやがる!」

廊下の...

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