第108章 鬼のような姿

阿部岳斗は、顔じゅう血まみれの女をねじ込むように睨みつけた。

こいつは、今まで一度だってこんな口を利けなかったはずだ。

いつも息を殺すみたいに媚びて、視線の奥には卑屈な愛情ばかりを浮かべていた。

だが今は違う。あの愛は、きれいさっぱり死んでいる。

残っているのは、背筋をひやりと撫でる憎しみだけ。

制御できない感覚が阿部岳斗の癇に障り、怒りは限界まで膨れ上がった。

「そんな気骨のある人間ぶった顔をしたら、俺が少しでもお前を見るとでも思ったか?」

鼻で笑う。目には毒みたいな侮蔑がべったり張りついていた。

「鏡でも見ろよ。そのザマを」

「目も見えねえ、全身血だらけ。ドブに転がる腐...

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