第113章 死ぬまで彼を憎む

「臆病者」

その一語が引き金になって、彼が無理やり記憶の最奥へと封じ込めていた光景が、堰を切ったように溢れ出した。

白いワンピースをまとった美玲が、別荘の庭に立っている。

振り返り、彼を見た。

澄み切った瞳。混じり気のない水晶みたいに、ただ透明で。

「岳斗、ずっとそばにいる」

あれほど、彼を愛していた。

ベッドの上の夜ごとに、どれだけ乱暴にされても、どれだけ痛めつけられても、美玲は唇を噛みしめて受け止めた。その瞬間には彼の背に腕を回し、耳元で名を呼んだ。

視界のすべてが、彼だった。

――なのに、いつからだ?

映像が唐突に砕け散る。

今日、病室で見たあの場面へと塗り替わっ...

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