第115章 真相とは何か?

「奥様の死の真相、ですか?」

阿部岳斗の身体が、瞬間、凍りついた。

「場所は」

「街の西側にある廃化学工場です」秘書はごくりと唾を飲み、声を震わせる。「相手は、社長お一人だけ入れと言っています。警察に通報したら、証拠は即座に処分すると」

阿部岳斗は答えなかった。

彼は慎重に、美玲をストレッチャーへ戻す。希少な宝を扱うみたいに、指先まで神経を張り詰めて。

自分のスーツの上着――彼女の血で汚れたそれを脱ぎ、そっと美玲の身体にかけた。

「……戻る」

低い声で、遺体に言い残す。

そして踵を返し、霊安室を大股で出た。

……

城西、廃化学工場。

鼻を刺す薬品と鉄錆の匂いが、肺の奥...

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