第116章 もう耐えられないのか?

――そうか。

全部、嘘だった。

岩崎春菜は視力を失ったわけじゃない。

美玲の目は、あいつが――ただ奪っただけだ。

自分だけを映していた女を、自分の手で底なしの闇へ突き落とした。

地下室で手探りするしかない、盲の女に変えてしまった。

「……ぐっ」

阿部岳斗は胸を押さえ、膝が砕けるように崩れて、砕けたガラスだらけの床へ重く膝をついた。

破片がスラックスを突き破り、膝に食い込む。

それでも痛みは来ない。

心臓が、錆びたノコギリで何度も擦られていくみたいだった。

痛すぎて、息の仕方さえ分からない。

「どうした? もう限界か?」

男が阿部岳斗の前へ歩み寄り、見下ろす。

革靴...

ログインして続きを読む