第123章 この名前!

阿部岳斗は、実験場で江口美玲をいたぶっていた悪魔を、善良な天使だと信じ込み、掌の上で守っていた。

そしてその「虐げられていた女」を、自分の手で地下室に閉じ込め――目を抉り取った。

「ぐっ――」

岳斗は頭を押さえ、喉の奥から掠れた悲鳴を絞り出す。首の傷口がまた裂け、血がじわりとガーゼを染めていった。

ワイルドウルフの地下実験場――その名。

無理やり記憶の奥へ押し込み、二十年ものあいだ封をしてきた記憶の欠片が、堰を切ったように溢れ出す。

頭が割れそうだった。

手にしていた銃が、からん、と床に落ちた。

膝が砕けるように崩れ、冷たいコンクリートに跪く。脳裏を、無数の断片が泥のように流...

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