第128章 ごめんなさい

「だが、その前に」

阿部岳斗は手を放した。喉の奥が、擦り切れるようにひりつく。

「おまえには、まだ生きてもらう」

阿部岳斗はボディーガードへ視線を投げ、運ばせるよう顎で示した。ボディーガードは即座に銀色のトレーを捧げ持って近づく。

そこに載っていたのは、赤黒い肉の皿。

キャロライナ・リーパーで丸一日煮込んだ、生の牛肉だった。

鼻を突く辛味が、水牢にこびりついた血の匂いを一瞬で押し流す。目の奥が痛むほどの刺激。

岩崎春菜は三日間、飢えさせられていた。胃の中は空っぽで、さっき無理やり流し込まれた酸っぱい水が残っているだけ。

「昔、おまえは……あいつに、これを一皿まるごと食わせた」...

ログインして続きを読む