第130章 転移

「いい。実にいい」

阿部岳斗は立ち上がると、昂ぶったまま床まで届く窓の前へ歩み寄った。喉が震えるたび、裂けるような痛みが走る。

「車を用意しろ」

ゆっくりと言葉を落とす。息は弱く、定まらない。

「岩崎春菜と……あの、しぶといババアもだ。まとめて移送しろ」

「移送先は?」秘書が問う。

「コーニング病院」

その名を吐き出した瞬間、周囲の空気が氷点まで落ちたかのように冷えた。

そこは、江口美玲が監禁され、弄ばれ、最後に両眼を奪われた場所だ。

「産婦人科の一番腕のいいチームを集めろ。24時間、張りつかせろ」

阿部岳斗は医者の前まで詰め寄り、白衣の襟を鷲づかみにした。毒蛇めいた冷た...

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