第135章 どうして死ねるものか?

市川颯人は、モニターの中で拳銃をこめかみに押し当てている男から目を離せなかった。

阿部岳斗――その眼は血が滲むほど赤く、指はすでに引き金にかかっている。

江口美玲が電話に出なければ、次の瞬間には世界中の何十億という視線の前で、自分の頭を撃ち抜くつもりなのだ。

だが。

車椅子に座る江口美玲は、包帯の下のまつ毛ひとつ、ぴくりとも揺らさない。

「消して」

氷のように冷えた声で、短く言い捨てた。

市川颯人は言葉を失った。

「本当に撃ったらどうするんだ……?」

「死なないわ」

江口美玲の口元が、極端な嘲笑のかたちに歪む。

「骨の髄まで自惚れてる男よ。私が生きてるか死んでるか、自分...

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