第137章 証拠がなくなった

「この動かぬ証拠、全部――お前らの面に叩きつけてやる。世界中の前で、その薄汚い仮面を剥ぎ取って……逃げ道なんて、ひとつも残さない」

……

北城のモーテル。

岩崎春菜は最後の送金を終えると、肺の奥に溜めていた息をようやく吐き出した。

証拠さえ消えていれば、阿部岳斗がどれほど憎んでいようと、彼女を「今すぐ殺す」理由にはならない――そのはずだった。

「――ッ!」

薄い木の扉が、外からの衝撃で悲鳴を上げる。次の瞬間、板は砕け、木屑が床に雨のように散った。

阿部岳斗が入ってくる。

地獄の底から這い上がってきた、殺意そのもの。踏みしめるたび、木屑がざり、と鳴った。

手には、刷りたての送...

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