第153章 誰に見せるつもりだ?

江口美玲は車椅子の背にもたれ、ゆっくりと言葉を選ぶように口を開いた。

「前に、私立病院の地下の手術室でね」

「太い革ベルトで手術台にがっちり縛りつけられて……医者は麻酔を一滴も打たずに、メスで私の目を切り開いたの」

「血が床に散って……痛すぎて、悲鳴を上げる力すら残ってなかった」

阿部岳斗の呼吸が、そこで止まった。

江口美玲が何を言おうとしているのか察したのだろう。全身が小刻みに震えはじめる。

面会室は、死んだみたいに静まり返った。聞こえるのは、阿部岳斗の荒く切れ切れの息だけ。

「ち、違う……」阿部岳斗は必死に首を振り、後ずさる。

江口美玲は容赦なく遮り、声を一段高くした。ひ...

ログインして続きを読む