第155章 まだ子供なのに!

江口美玲はマイクに口を寄せた。声は掠れて、まるで血を滴らせているみたいだった。

「――あの子が、陽が……あの頃、いくつだったと思うの」

「泣く声すら出せない子を、どうして……どうして平気で、わたしの腕から引きはがして、あんな氷みたいな水に放り込めたの……!」

江口美玲は卓上の赤いボタンを、叩きつけるように押した。

屠殺場のモニターの中で、家政婦を吊るしたロープが一斉に、すとんと落ちる。半メートル。

「――ぼちゃんっ!」

二人の下半身が、そのまま氷水へ沈んだ。

「いやああああ! 冷たい! 助けて! お願い!」

刺すような冷気が一瞬で体温を奪い、浮いた氷片が刃物みたいに肌を裂いて...

ログインして続きを読む