第158章 草編みの指輪

「――あの草編みの指輪だ」

阿部岳斗は黒い血を噴き上げながら、カメラに向かって甲高い、壊れたような笑い声を上げた。

「おまえが腹に子を宿したまま、土砂降りの中で膝をついて……俺に、結婚してくれって泣きついたとき。おまえの手で編んで、俺に渡した指輪だ。……排水溝から掘り返してきた

彼は血と肉でぐずぐずになった肉の塊を掲げる。潰れた眼窩から、血の涙がとろりと垂れた。

「俺はそれを……無理やり尿道に押し込んだ……美玲、返すよ。受け取ってくれ。これで――許してくれないか。なあ、頼む、頼む!」

江口美玲は車椅子に座ったまま、表情ひとつ動かさない。

声には起伏がなく、まるで悪臭を放つゴミの山...

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