第160章 封じ込める

ためらいは一切なかった。医務官は先の尖った金具を手に取り、阿部岳斗の上下の唇を貫いた。ひやりと冷たい鉄線が皮膚と肉を突き抜け、唇はきつく縫い合わされる。右端に、わずか1cmにも満たない隙間だけを残して。

――そこは、食道へ管を通すための穴だ。

今日から阿部岳斗は、完全に声を失った。目が見えず、下半身も失った廃人。さらに今や、罵倒するための口も、見張りを誘い出すための口も、封じられた。

逆転の望みも、狂気も、数本の鉄線によって、この腐りかけた肉の檻に永遠に閉じ込められる。

「地下5階のサイレント地下牢に放り込め。光はなし。音もなし。誰も近づくな。毎日、栄養液だけを注射しろ」

江口美玲...

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