第170章 結末

そのときだった。

「ゴホッ——」

江口美玲が、突然、激しく咳き込みはじめた。胸元を押さえた瞬間、鮮やかな赤が口から噴き出し、白いパジャマを容赦なく染め上げる。

彼女に接続された体外循環装置が、けたたましい赤色警報を一斉に鳴らした。

「美玲!」

市川颯人の顔色が変わる。駆け寄り、崩れ落ちた彼女の身体を抱きとめた。

呼吸は浅く、早く、頼りない。肌は氷みたいに冷たい。阿部岳斗は死んだ。彼女を生かしていた最後の執念まで、そこでぷつりと切れた。

「医者! 助けろ! 今すぐだ!」

市川颯人が手術室中の専門家に向かって怒鳴り散らす。

執刀医が汗だくで駆け寄り、モニターの数値を一瞥した。声...

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