第35章 真相を見る

病室は、しんと静まり返っていた。

アレンは手の中のメスを見つめ、それからベッドの上の女へ視線を移した。

美玲の下半身からは黄緑色の膿がまだ滲み出ている。腐敗臭が手術室の空気を刺すように濃い。器具で無理に開かれたそこは壊れて閉じず、縁には壊死した紫黒の肉がぐずぐずに崩れて貼り付いていた。

アレンは、わずかに動きを止めた。

「阿部さん。殺すつもりでも言っておきます。医学の常識です」

アレンはメスを金属トレーに放り投げた。カラン、と乾いた音が響く。

「この女の血液は、致死的な感染菌で満ちてます。いま目を抉ったら、菌が視神経を伝って、直接、岩崎さんの脳に入る」

「岩崎さんは視力を取り戻...

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