第36章 自分で掘る

アレンは二人のボディーガードに壁へ押しつけられたまま、阿部岳斗の筋の通らない狂言を聞かされ、荒唐無稽もいいところだと噛みしめていた。

視線を、あらためて手術台へ戻す。

美玲は横たわっていた。死体のように。下腹部からは黄緑色の膿と血がだらだらと流れ、腐った肉の臭いが空気にまとわりつく。

阿部岳斗は嫌悪に眉を寄せると、メスの切っ先を美玲の痩せたまぶたに当てた。

「おまえがやらないなら、俺が抉る」

刃先が皮膚を破ろうとした、その瞬間。

「バンッ!」

金属の扉が外から乱暴に押し開けられた。

看護師が転げ込むように飛び込み、真っ青な顔で、声を震わせる。

「阿部さん! 大変です! 岩崎...

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