第4章 雄犬

発情した二匹の大型犬が連れ込まれ、部屋中に狂暴な咆哮が響き渡った。 岩崎春菜は阿部岳斗の背後に隠れながら、密かにスマートフォンを取り出し、レンズを檻の中の美玲に向けた。 拘束された剥き出しの身体、首に食い込む鉄鎖、そして涎を垂らしながら襲いかかる野獣。 彼女はその屈辱的な光景のすべてをカメラに収め、以前バーで美玲が男たちに囲まれていた時の動画と共に、美玲の母親へ送信した。 送信を終えると、彼女は静かに携帯を収め、その時が来るのをただ待った。

檻の中では、二匹の獣がすでに美玲にのしかかっていた。 荒い舌が彼女の肌を容赦なく舐めまわし、鋭い爪が傷だらけの身体に新たな傷を刻んでいく。 獣たちは本能を剥き出しにし、狂ったように彼女へ襲いかかろうとしていた。

「やめて! 触らないで、誰か助けて!」 美玲は必死に身をよじったが、重い鉄鎖が彼女の自由を完全に奪っていた。 出産を終えたばかりの身体は、引き裂かれた傷口すら癒えていない。これ以上の仕打ちを受ければ、命はない。

「阿部岳斗! お願い、こいつらを遠ざけて!」 彼女は泣き叫んだ。涙と冷や汗が混ざり合い、檻の底板にぽつぽつと滴り落ちる。 しかし、阿部岳斗は冷徹な眼差しでその光景を見下ろすだけで、指一本動かそうとはしなかった。 容赦のない獣の気配が、いよいよ彼女の最も痛む禁忌の場所へと迫る。

「そこまでだ」

岳斗の合図で、ボディーガードが即座に踏み込み、狂暴な獣たちを力任せに引きずり出していった。 美玲は檻の床に崩れ落ち、篩にかけられたように激しく震えながら、か細い呼吸を繰り返した。

阿部岳斗が檻に歩み寄り、冷酷に彼女を見下ろした。 激しい抵抗の末に傷つき、血の滲む彼女の秘部へと視線を落とす。

「本当に、底なしの牝だな」 彼は忌々しげに鼻で笑った。 「獣に少し弄ばれただけで、もうそんなに濡らしているのか? 犬のモノがそこまで欲しかったか」

「そんなこと……ない……」 美玲は虚弱に首を振ったが、その瞬間、下腹部を突き刺すような激痛が走った。 暗い赤色の血が容赦なく流れ出し、大腿を伝って床へと滴り落ちていく。部屋の中に、生々しい血の匂いが立ち込めた。 阿部岳斗は嫌悪感を露わにし、鼻を覆って一歩後退した。

「反吐が出るな」 彼は隣に立つ岩崎春菜の肩を抱き寄せた。 「行こう、春菜。お前の目が汚れる」

岩崎春菜は従順に彼の胸に寄り添い、立ち去り際に一度だけ美玲を振り返って、静かに微笑んだ。 重々しい扉が閉まり、美玲は自らの血の海の中で、ただ一人取り残された。

それから数日間、彼女に治療が施されることはなかった。 過酷な産後の状態に加え、不衛生な檻の環境が災いし、彼女の傷口は重度の感染症を引き起こしていた。 患部は酷く腫れ上がり、膿と血が混ざり合った不快な悪臭が室内に充満していく。美玲は高熱に浮かされ、もはや悲鳴をあげる力すら残されていなかった。

再び阿部岳斗が部屋を訪れた際、扉を開けた瞬間にその表情を歪めた。

「何の臭いだ、これは」

ハンカチで鼻を押さえながら、後ろから岩崎春菜がついて入ってくる。 「岳斗、こういう身持ちの悪い女って、特有の病気にかかりやすいって聞くわ。これ、ただの化膿じゃないんじゃない? 梅毒か何かが悪化したのよ、きっと」

阿部岳斗の顔が急速に引き締まり、殺気を帯びた。 彼は檻の前に歩み寄ると、鉄格子の棒を思い切り蹴り飛ばした。凄まじい金属音が響き、衝撃で意識を取り戻した美玲は、怯えたように隅へと縮こまった。

「この汚らわしい女が!」 阿部岳斗が怒号を浴びせる。 「そんな不潔な病を持ち込みおがって。一体何人の男に抱かれれば、そこまで腐り果てるんだ!」

「違う……ただの、感染症よ……お願い、お医者様を……」 美玲の声は消え入りそうだった。

「お前にそんな資格があるとでも?」 岳斗は冷笑した。 「消毒液を持ってこい。こいつの身体を綺麗に洗ってやる」

ボディーガードが二人がかりで、高濃度の工業用消毒液が入ったバケツを運び込んできた。 阿部岳斗が顎で指示を出す。 「浴びせろ」

容赦なく頭上から降り注いだ冷徹な液体が、爛れた傷口の深部へと容赦なく侵入していく。 美玲の口から漏れた絶叫は、もはや人間のものとは思えなかった。 彼女は狂ったように檻の中で悶絶し、地獄の業火に焼かれるかのようにのたうち回った末に、やがてぷつりと意識を失った。 阿部岳斗はその様子を見届けると、春菜を伴って冷酷に去っていった。

次に彼女が目を覚ました時、部屋には岩崎春菜だけが佇んでいた。 彼女は檻の前に椅子を引き、優雅に腰掛け、手には一台のタブレットを携えていた。

「目が覚めた? お姉ちゃん」 岩崎春菜はどこまでも優しく微笑みかけた。 「いいものを見せてあげる」

タブレットの画面が鉄格子のすぐ目の前に突きつけられ、再生ボタンが押された。 映し出されたのは、ある高層ビルの屋上だった。 吹き荒れる風の中、白髪の混じった女性が危うい縁に立っている。 ――彼女の母親だった。

「お母さん!」 美玲は狂ったように突進し、爪が剥がれんばかりの力で鉄格子にすがりついた。

動画の中の母親は、スマートフォンを震える手で握り締め、過呼吸を起こしながら泣き崩れていた。 『美玲……どうしてあんなことを……たくさんの男の人たちと……あんな野獣とまで……。お母さん、もう顔向けができないわ……』 そして母親は静かに目を閉じ、奈落の底へと身を投げた。 画面が激しく揺れ、鈍い衝撃音が響く。最後には、冷たいコンクリートの上に横たわる、無惨に変形した遺体が映し出された。

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

美玲の魂は完全に崩壊した。 喉の奥から絞り出された慟哭は、もはや言葉にならず、生きたまま皮を剥がれた獣の絶叫そのものだった。

「あら、お気の毒に」 岩崎春菜はわざとらしくため息をついた。 「おばさん、あなたがあの男たちに弄ばれている姿や、犬に襲われそうになっている動画を見て、耐えられなくなっちゃったのね。お姉ちゃん、あなたは本当に厄病神ね。自分の母親まで死に追いやるなんて」

「お前だ……お前が、あの動画を、母さんに……!」

美玲は岩崎春菜を睨みつけた。その瞳に宿るものは、もはや憎悪を超えた、純粋な狂気だった。 彼女の脳裏には、ただ一つの衝動しか残されていなかった。 隙間から両腕を限界まで突き出し、岩崎春菜の髪を掴んで檻の方へと猛烈に引きずり込んだ。

「キャッ! 放して! 狂ったの!?」

美玲は自分の首に繋がれた鉄鎖を腕に巻き付け、そのまま春菜の細い首を締め上げた。 「死ね! 母さんの命を返せ! 私の子供を返せ!!」

鉄鎖が皮膚に深く食い込み、岩崎春菜は白目を剥き、宙を掻き毟るように暴れた。 その時、部屋の扉が乱暴に蹴破られた。 阿部岳斗が踏み込み、その光景を目にした瞬間、彼の目尻が裂けんばかりに釣り上がった。

「美玲!!」

彼は突進し、美玲の細い腕を容赦なく蹴り折った。鈍い骨折音が響き、彼女は強制的に手を離さざるを得なかった。 岩崎春菜は岳斗の腕の中に倒れ込み、激しく咳き込みながら涙を流した。 「岳斗……私はただ、おばさんのことを伝えに来ただけなのに……殺されるところだった……」

「大丈夫だ、もう安心しろ」 岳斗は彼女の背を優しく撫で、そのまま美玲へ冷酷な視線を向けた。 「母親が死んだ腹いせに、春菜を道連れにしようとはな。檻に入れておくなど、お前には生ぬるすぎた」

彼は檻の鍵を開け、美玲を乱暴に外へと引きずり出し、床へと叩きつけた。

「跪け。春菜に謝罪の頭を下げろ」

美玲は血に染まった唇を噛み締め、無言のまま彼を睨み返し続けた。

「従わないか」 岳斗は冷酷に微笑んだ。 「あれを持ってこい」

ボディーガードが運んできたのは、黒い革製の犬用マズルと、金属製の固定器具がついた長い獣の尾だった。

「犬のように噛み付くのが好きなら、生涯を犬として過ごすがいい」

彼は美玲の背中に容赦なく足を乗せて踏みつけ、無理やりその口を開けさせると、マズルを装着して後頭部で頑丈に固定した。 美玲はくぐもった声をあげて抵抗したが、圧倒的な暴力の前には無力だった。 続いて、彼女の抵抗を封じ込め、潤滑も一切ないまま、金属の器具を彼女の最も敏感な深部へと容赦なく挿入した。

「む、ぐぅ……!」 想像を絶する痛みに美玲の身体は激しく痙攣し、涙が溢れ出た。口を塞がれた彼女に許されたのは、喉の奥で押し殺された悲鳴だけだった。 彼女の後ろで、人工の尾が痛々しく揺れる。

「よく聞け」 阿部岳斗は屈み込み、彼女の顎を乱暴に掴み上げた。 「今日から人間の言葉を話すことは許さん。犬として鳴け。食事は外の犬たちの残飯だ。一口でも残せば、その都度骨を叩き折ってやる」

美玲は絶望に目を閉じ、涙を流し続けた。

「死にたいか? まだ抗うつもりか?」 阿部岳斗は彼女の耳元に顔を寄せ、囁くような低い声で告げた。 「お前がそんな態度を続けるなら……田舎で暮らす、まともに歩くこともできないお前の祖母がどうなるか、想像してみろ」

美玲の目が見開かれた。 祖母は、彼女に残された最後の、唯一の肉親だった。

「う、うぅ……!」 彼女は必死に首を振った。 そして、その屈辱的な尾を背後に揺らし、口輪をはめられたまま、床に這いつくばった。 岩崎春菜の足元に向けて、彼女は深く、重々しく、その頭を垂れた。

岩崎春菜の、愉悦に満ちた高い笑い声が部屋に響き渡った。 阿部岳斗は美玲の頬を、まるで玩具を褒めるかのように、軽く叩いた。

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