第41章 ダブル倍

阿部岳斗の足音が、廊下の奥へと消えていく。

病室の扉が閉まった。

看護師がベッド脇に立っていた。手には大きな注射器が二本。中には黄ばんだ高カロリーの栄養液と、蛋白質を混ぜた粘り気のある液体が隙間なく満たされている。

美玲はベッドに横たわり、四肢を拘束帯できつく固定されていた。手首の皮膚は擦り切れるどころか抉れ、白い骨が覗いている。

看護師の目に、憐れみは一片もない。

さきほど美玲が吐き戻したチューブを引き抜くと、アルコール綿で雑に拭い、再び血の滲む鼻孔へ向けた。

「阿部さんの指示よ。量は倍」

冷えきった声だった。

ごわついたシリコンチューブが、また無理やり押し込まれる。

美...

ログインして続きを読む