第45章 死亡診断書

阿部岳斗は踵を返すと、手術台へ大股で向かった。

美玲は、あの白い布をめくるものだと思った。

めくられたら終わりだ。ホームレスの顔を見られた瞬間、すべてが崩れる。

アレン教授はその場で殺される。美玲も医療用台車の下から引きずり出され、生きたまま切り刻まれる。

意識だけが闇の中で悲鳴を上げているのに、美玲は指一本、動かせない。

足音が手術台の脇で止まった。

阿部岳斗は、そこに長いこと立ち尽くした。

——だが、手は伸びない。

伸ばせないのだ。

ビジネスの世界では容赦なく人を斬り捨て、地下室では悪魔みたいに美玲を三年も壊し続けた男が、たった一枚の布をめくる勇気すら持てない。

怯え...

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