第49章 彼がかわいそうなの?

「見逃してやれって?」阿部岳斗が鼻で笑った。

美玲は必死にうなずく。

阿部岳斗が手を上げ、合図を送る。十数人のボディーガードが一斉に手を止めた。目黒律はぼろ雑巾みたいに血だまりへ沈み、全身を痙攣させながら、起き上がる力すら残っていない。

「阿部さん」ボディーガードのひとりが近づき、地面に転がる闇医者を一瞥した。「あいつ、手首の骨が粉々です。神経もいってる。もう二度とメスは握れません」

「自業自得だ」阿部岳斗は医者に目もくれず、氷みたいに冷えた声で吐き捨てた。「俺のものに触れた。それだけだ」

視線が、美玲の顔へ戻る。

美玲は首を巡らせ、地に伏した目黒律を見つめていた。その目に宿るの...

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