第6章 身売り?

美玲は、自分がどれほどの時間この場所に閉じ込められているのか分からなかった。 窓はなく、時計もなく、頭上の白い灯りだけが24時間、容赦なく彼女を照らし続ける。四方を囲む金属の壁には、微かな隙間さえ存在しない。 あの麻酔なしの縫合手術によって一命は取り留めたものの、傷跡は醜い傷の塊となり、彼女の身体はすでに限界を迎えていた。 彼女は毎日部屋の隅で膝を抱え、空っぽの手のひらを見つめ、ただ息をしていた。

子供は亡くなり、母はあの高層ビルから身を投げた。 今もなお彼女が生きながらえている唯一の理由は、田舎でまともに歩くこともできず待っている、年老いた祖母の存在だけだった。

「カチャリ」

重い鉄の扉が外から開かれた。 岩崎春菜がヒールを響かせて現れ、その後ろには刺青を施した大柄な男が、不気味な黒い金属のケースを手に携えて立っていた。 春菜はハンカチで鼻を覆い、部屋の隅で縮こまっている美玲に冷ややかな視線を向けた。

「お姉ちゃん、ここの居心地はどう? 岳斗があなたの健やかな日々のために、特別に用意してくれた檻よ」

美玲は応じなかった。 ただ、その男が持つ金属のケースを凝視し、本能的に身体をさらに縮こませた。 春菜は冷酷に微笑むと、バッグからスマートフォンを取り出し、美玲の目の前の床へと投げ捨てた。 画面は明るく点灯している。 集中治療室で、全身にチューブを繋がれた白髪の老人の姿が映し出されていた。心電図のモニターは微弱な波形を描き、いまにも平らな線になりそうな危険なアラーム音を響かせている。

「おばあちゃん……!」 美玲は狂ったように這い寄り、震える手でスマートフォンを抱き上げると、涙が激しく画面を濡らした。

「あの老いぼれ、もう限界みたいよ」 春菜の声には、隠しきれない愉悦が満ちていた。 「今夜中に200万ドルの心臓手術を受けなければ、朝を迎えることはできないわ。お姉ちゃん、一文無しのあなたに、一体何ができるの?」

美玲は全身を激しく震わせ、弾かれたように顔を上げた。 「……何が目的よ」

春菜が指を鳴らすと、タトゥーの男が一歩前に進み、ケースを開けた。 中には、タトゥー用の針、染料、そして微型の配信機材が整然と並んでいた。

「簡単なことよ」 春菜の声は、獲物を狙う毒蛇の囁きのようだった。 「服をすべて脱ぎ捨て、この男にお前の最も秘められた場所に『誰にでも従う汚らわしい犬』という刻印を彫らせるの。そして首輪を嵌めて、ダークウェブで生配信を行う。あちらの歪んだ蒐集家たちはお前のような肉体を好み、競い合って高値をつけるわ。そうすれば、あの老いぼれを救う200万ドルを私が恵んであげる。悪くない取引でしょう?」

「ふざけないで……!」 美玲は絶望と怒りのあまり、スマートフォンを春菜に向けて激しく投げつけた。 「岩崎春菜、お前は狂っている!」

スマートフォンは春菜の肩をかすめた。 彼女はそれを好機と捉えたように床へ倒れ込み、顔を覆って激しく泣き崩れた。 「お姉ちゃん! どうしてそんな酷いことをするの!? 私はあなたを助けたくて……!」

その瞬間、扉が乱暴に蹴破られた。 阿部岳斗が立っていた。その身から放たれる圧倒的な威圧感は、地獄の深淵から湧き上がる殺気そのものだった。

「岳斗!」 春菜は這いよって彼の足元にすがりつき、涙を流して訴えた。 「お姉ちゃん、おばあ様が危篤だと聞いて、自ら望んで身体に刻印を入れて、闇の世界で身を売ると言い出したの! 私がどれほど止めても聞いてくれなくて……どんな男に弄ばれても構わないって、私を突き飛ばして……!」

阿部岳斗の視線が、床に散らばる針、染料、機材を冷酷になぞり、最後に美玲の身体へと突き刺さった。

「違う! 私じゃない! こいつが無理矢理……!」 美玲は喉を引き裂くように叫んだが、岳斗はその言葉に耳を貸そうとはしなかった。 彼は無言で春菜を抱き起こし、外のボディーガードに引き渡した。 「春菜を連れて戻れ。その男もつまみ出せ」

重い金属の扉が再び閉ざされ、部屋は狂気と沈黙に包まれた。

「闇の世界で身を切り売りするか」 岳斗は冷笑し、美玲の髪を乱暴に掴んで彼女の身体を吊り上げ、冷酷に見つめた。 「美玲、お前はそれほどまでに男に飢えているのか。あの傷が塞がったばかりだというのに、もう他人に貪られたくてたまらないのか」

「放して……違う、これは彼女の罠よ……!」

「まだ言い訳をするか!」

彼は彼女を床に激しく叩きつけた。冷たい金属の床に背中を強打し、美玲の視界は一瞬で暗転した。 彼女が体勢を立て直す間もなく、岳斗の強大な質量がその上にのしかかった。

彼は彼女の服を容赦なく引き裂き、自らの戒めを解くと、まだ十分に癒えていない、手術の傷跡が残る彼女の深部へと、一切の躊躇なく強引に侵入した。

「あああああ――っ!」

美玲の口から、凄惨な絶叫が放たれた。 裂けるような劇痛が脳を直撃し、ようやく塞がりかけていた内奥の傷口が、再び生々しく引き裂かれていく。 乾ききった狭窄な空間に、逃げ場のない暴力が押し入るたび、繊細な粘膜が容赦なく削り取られていく。 阿部岳斗の動きには、一切の慈悲も温度もなかった。 彼は彼女の腰を破壊せんばかりの力で掴み、怒れる野獣のように、ただ自らの激情を彼女の身体に叩きつけ続けた。

侵入が深まるたび、容赦のない衝撃が彼女の深奥を激しく突き上げる。 「男たちに弄ばれるのがそんなに望みか? 汚らわしい世界でその身を晒したいか!」 岳斗は憎悪に満ちた呼吸を漏らし、汗を美玲の蒼白な顔に滴らせながら、激しく腰を動かした。 「ならば、まずは俺が思い知らせてやる。その不浄な身体が、どれほどの苦痛に耐えられるかをな!」

美玲は激痛のあまり全身を痙攣させ、涙を止めどなく溢れさせた。 彼女は残されたわずかな力で彼の胸を押し返そうとし、その背中に血の滲むような爪痕を残した。 「放して……痛い……やめて、阿部岳斗……!」

「黙れ!」

容赦のない衝撃が彼女の頬を打ち抜き、美玲の唇の端から赤い血が流れ出した。 彼の動きはより一層狂暴さを増し、生々しい肉体の衝突音と、彼女の押し殺された悲鳴だけが、冷徹な部屋に反響し続けた。 彼女の太腿を伝って赤い鮮血が床へと流れ落ち、金属の冷たさを染めていく。 彼女の内奥は、再び完全に引き裂かれたのだ。

しかし、岳斗は彼女の流す血にも、その絶望に歪む表情にも視線を向けることはなかった。 ただ、目の前の不貞な存在を完全に灰に帰すことだけを求めているかのようだった。 やがて、彼は低く咆哮をあげ、自らの滾る熱を、彼女の最深部へと無慈悲に注ぎ込んだ。

彼は身体を引き抜くと、服を冷然と整え、床にまるで破棄された人形のように転がる美玲を見下ろした。 血に濡れた彼女は、焦点の合わない目で天井を見つめ、微かに胸を上下させているだけだった。

岳斗の視線が、床に落ちていた金属のケースに留まった。 彼は歩み寄り、そこから一本の鋭利なメスを拾い上げ、さらに高濃度のアルコールボトルを手にした。

冷徹な刃先が、美玲の平らな下腹部に押し当てられる。 彼女は激しく身震いし、恐怖に目を見開いて後退しようとした。 「……何をするの……」

「自分の身体に刻印を入れたがっていたな。望み通りにしてやる。ただし、他人の手ではなく、俺の手で刻んでやる」

言葉が終わるか否かのうちに、鋭い刃先が彼女の薄い皮膚を深く切り裂いた。 「嫌! やめてっ!」美玲は狂ったように暴れた。 しかし、岳斗の強靭な膝が彼女の両足を床に縫い付け、片手でその肩を完全に抑え込んだまま、もう一方の手で容赦なく刃を走らせた。

赤い筋が瞬時に走り、肉を切り裂く微かな音が部屋に響く。 彼は彼女の下腹部に、深く、消えぬ傷跡で「ビッチ」という屈辱的な文字を刻み込んでいった。 あまりの激痛に美玲の意識は混濁し、唇を噛み切って口内に血の味が広がった。

「これしきのことで、もう終わりか?」 岳斗は血に塗れたその文字を見下ろし、冷酷に笑うと、手にしたボトルの蓋を開けた。

「お願い……やめて、岳斗、本当にお願い……」 そのボトルに気づいた美玲は、この世の終わりのような恐怖に顔を歪め、必死に哀願した。

しかし阿部岳斗は無表情のまま、その高い濃度のアルコールを、刻まれたばかりの生の傷口へと直接注ぎ込んだ。

火を放たれたかのような劇痛が、彼女の神経を焼き尽くした。 剥き出しの生肉に液体が浸透し、数千の牙を持つ虫たちが一斉に神経を貪り喰らうかのような、言葉にできない苦痛が炸裂する。

「あああああ――ッ! 殺して! お願いだから、もう殺して!!」

美玲の喉は引き裂かれ、心引き裂かれる叫びが金属の壁に跳ね返った。 彼女の身体は狂ったように弓なりに痙攣し、床を激しく掻き毟る両手の爪はすべて無残に剥がれ、指先から血が滲み落ちた。 その光景は、ただ地獄の血の海そのものだった。

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