第63章 あの役立たずの尻拭いをする

阿部岳斗の指が、美玲の腹部に当てられたガーゼへと食い込む。

指先の下にあるのは、縫い合わされたばかりの肝臓と胃壁――そのはずだった。

容赦はない。掌が、ぐっと下へ沈む。

「――っ」

喉には気管チューブ。悲鳴は声にならず、空気の漏れる掠れた音だけがこぼれた。

縫合したばかりの傷が押し裂かれ、白いガーゼがみるみる赤く滲む。パジャマまで血が染み広がっていく。

痛みに身体が痙攣し、空っぽの眼窩から生理的な涙が溢れ出した。

「痛いか?」

阿部岳斗は覗き込むように見下ろし、もう片方の手を腹から下へ滑らせると、ズボンを乱暴に引き裂く。

冷気が肌を刺し、美玲の全身が強張った。反射的に脚を閉...

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