第64章 体が制御不能になる

阿部岳斗は、彼女に息をつく暇すら与えなかった。

乱暴に手を伸ばし、ズボンに残っていた布を引きちぎる。

「……っ」

美玲は必死に首を振った。失われた眼窩から、赤黒い液が滲み出て頬を伝う。

阿部岳斗は両手で、骨ばかりになった腰を掴んだ。ためらいも、配慮もない。彼女の身体の状態など、最初から眼中にない。

そして――

「……っ!」

機械の規則的な電子音だけが響く集中治療室で、彼女の喉が引きつるように震えた。

美玲の身体は弓のように反り、ベッドの上で跳ね上がる。

痛みが、全身を裂いた。

呼吸をするだけで、内側から崩れていくような痛み。縫合したはずの腹部が熱を持ち、包帯の下でじわりと...

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