第74章 あざ

ボディーガードがなだれ込んできて、美玲を死んだ犬でも引きずるみたいに浴室から引っぱり出した。

廊下の冷たい床へ、どさりと放り投げられる。

目の前で浴室の扉が、重たく閉まった。

浴室の中。

岩崎春菜は、外に気配が漏れていないのを確かめると、顔に浮かべていた怒りを一瞬でねじ曲げ、冷たい悪意へと変えた。

浴槽の縁まで歩み寄り、震えながら縮こまる子供を見下ろす。

「この雑種。なんであの目の見えない女に、あんなに懐いてんの?」

声を落とし、歯ぎしりするように子供の顎をつかむ。爪が肉に食い込み、じわりと沈む。

「助けてもらえるとでも思った? 寝言は寝て言いな」

春菜はシャワーヘッドをひ...

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