第77章 何を隠れる?

彼は食べないわけにはいかなかった。

口を開け、差し出されたひと口の粥を喉の奥へ流し込む。

「いい子ね」

岩崎春菜が阿部陽の頭を撫でる。その横目に、病室へ入ってくる阿部岳斗の姿が映った瞬間、彼女は安堵と疲労を混ぜたような笑みを作った。

「岳斗、来てくれたのね」

春菜は椀を置き、立ち上がる。

「先生が言ってたわ。陽はもう完全に熱が下がったって。今日は退院できるそうよ」

阿部岳斗はベッドの脇まで歩み寄り、阿部陽の青白い小さな顔を見下ろした。眉間がわずかに寄る。

「……この数日、苦労をかけたな」

「苦労なんて。陽が無事なら、私が少し疲れるくらいどうってことないわ」

春菜は目尻を赤...

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