第84章 断る権利があると思っているのか?

赤ワインがテーブルの縁からつうっと垂れ、芝生に赤い雫を落とした。

阿部陽がびくりと震え、美玲の胸へと勢いよく身を縮める。美玲は反射的に子供を抱き締めた。

「命が惜しくないの? 春菜が親切に連れ出してあげたのに、まだ揉め事を起こす気? あんな目で脅して……何を企んでるのよ」

「揉め事? 今あいつが、私の子供を――」

「黙れ!」阿部岳斗が遮った。「高城麻耶の言ったことが間違いか? お前は殺人犯だ。そんなのが産んだものなんて、最初から汚れてる」

言い合う二人の隙を縫って、高城麻耶は阿部岳斗が味方についたと見るや、途端に声を張り上げた。美玲を指さし、甲高くまくし立てる。

「岳斗、騙されな...

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