第92章 お前が私を台無しにした!

阿部岳斗は荒々しく腕を振り抜き、美玲の身体をざらついたコンクリート壁へ叩きつけた。

「ぐっ……!」

鈍い呻きが漏れ、背中の皮膚が一気に擦り剥ける。

「さっき、あの子は岸辺で泣き崩れて、気を失いかけてた。石の上に膝をついて、医者に助けてくれって縋りついて……額まで割れてた」

「それなのに、おまえはどうだ」

阿部岳斗は、黒い布で覆われたその目元を射抜くように睨みつける。

「隣で聞いてただけだ。涙ひとつ落としてない」

「だって、見えないのよ!」

美玲が絶望の叫びを上げた。喉の奥に血の生臭さがこびりつく。

「見えないの、阿部岳斗! 崖の縁がどこにあるかだって、わからない!」

「そ...

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