第99章 すぐに君のもとへ行く

「怖くない。あなたが相手なら、何も怖くない」

目黒律は目を閉じ、必死に顎を持ち上げた。喉元をさらし、脈打つ動脈を美玲の前へ差し出す。

美玲はガラス片を掲げた。両手が制御できないほど、ぶるぶると狂ったように震える。

この人は、彼女の人生でいちばん大切な人だ。目が見えなくなってからも、なお手を引いて前へ進ませてくれた、たったひとり。

その彼を――いま、自分の手で殺そうとしている。

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

涙が、目黒律の頬へぽたぽたと落ちた。

「怖がるな。すぐ、俺もそっちへ行く」

美玲は奥歯を噛み締め、決意の色を瞳に走らせる。鋭いガラス片を、目黒律の頸の動脈へと強く押...

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