第21章

「温かいうちに、少し食べて」

四宮礼司から差し出された紙袋を見て、相沢愛音はきょとんとした。

――彼女のために、わざわざ持ち帰りを用意してくれたのだ。

胸の奥を、ふっと淡い感情がよぎる。まるで心の弦をそっと爪弾かれたみたいに、相沢愛音の美しい目元がやわらかく弧を描いた。

男の手から紙袋を受け取り、相沢愛音は礼を言う。

「ありがとう、礼司」

そうして袋を開けた瞬間、ふわりと食べ物の香りが広がった。一日ろくに口にしていなかった相沢愛音は、さすがに空腹だったらしい。遠慮することなく、そのまま食べ始める。

「どうして私がまだ食べてないって分かったの?」

首を巡らせて四宮礼司を見やり、...

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