第34章

相沢衣奈の声はよく通った。人の出入りが絶えない1階ロビーでは、何人もの視線がこちらへ向く。

受付のスタッフがわずかに眉をひそめる。前に来たときも、この人はちょうど今みたいな騒ぎ方をしていた。

「相沢さん、どうしてこちらへ?」

下へ降りてきた原田翔斗は、相沢衣奈がそこで騒いでいるのを見て、相手の目的など最初からわかっていた。それでも、何も知らないふりをする。

四宮社長のほうでも、相沢衣奈が来ることは予想していたらしく、あらかじめ原田には話が通っていた。

原田翔斗の姿を見た相沢衣奈は、少しだけ態度を和らげた。

この男は四宮礼司の側近だ。無闇に敵に回すわけにはいかない。

「原田さん、...

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