第51章

相沢愛音が部屋に入ると、そこには必要最低限の家具があるだけで、ほかはほとんど何もなかった。

野村翔はどこか居心地が悪そうに表情をこわばらせる。

「ここはたまたま知り合った友人が貸してくれてるんだ。どうせいつまで住むかも分からないし、わざわざ整える気にもならなくてさ」

「四宮壱、外で待ってて」

相沢愛音がそう告げると、四宮壱は小さくうなずき、扉口へ移動して見張りに就いた。

野村翔は引き出しから一冊のノートを取り出し、相沢愛音へ差し出した。

「相沢さん。これは……あなたのお母さんが当時、俺に預けたノートだ。中にいろいろ書いてある。自分で読んでくれ」

相沢愛音は一瞬、息をのむ。手がう...

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