第7章

「これ以外にはないのか?」

言葉が落ちた瞬間、四宮礼司の胸に、珍しくも後悔が薄く浮かんだ。

夜は深い。静けさの底で、互いの呼吸音まで聞こえてしまう。理由もなく、部屋の空気に妙な甘さが混じった。

相沢愛音はそこまで考えていなかったらしく、問いかけを受けると真面目に一秒だけ考える。

「ほか、ですか。四宮様って顔もいいし、お金もあるし、権力もあるし。女の人みんな、嫁ぎたいんじゃないですか?」

からかうような口調のまま、ふっと目つきが変わる。

「それにしても、なんでそんなに聞くんです? まさか、私のこと好きになっちゃったとか?」

ギリッ――

握りしめた指の関節が鳴った。四宮礼司は奥歯...

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