第5章

 「異端」と呼ばれるあの血が喉へとなだれ込んだ瞬間、ビンセントは酔いしれるような低いうめきを漏らした。振りほどくどころか、両腕で私の腰をぎり、と締め上げ、脈打つ首筋をいっそう深く――私の牙のあいだへ差し出してくる。

 癒やしの血が体内でほどけた途端、昨夜の粗悪な豚の血が残した腐臭と灼ける痛みは、火にくべられた紙のように一瞬で焼き尽くされた。干からびていた筋肉に血が戻り、鋼鉄さえ握り潰す純血の力が、四肢百骸へと還ってくる。

 私はビンセントを突き放し、口端の血を舐め取ってから彼を見た。失血で顔色は紙のように白い。それでも灰緑の瞳には、病的な熱と満足が燃えていた。

「剣を用意しなさい、ビン...

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