第8章

 私の血が、ビンセントの静脈の奥で煮えたぎっていく。

 彼が再び灰緑の瞳を開いたとき、虹彩の外縁には、捕食者のものとしか言いようのない深紅が滲んでいた。

 死んではいない。かといって、エリックのようなありふれた吸血鬼になったわけでもない。

 私の真血を呑み込んだことで、彼の体内に眠っていた──狩人の家系から「異端」と忌み嫌われた治癒の血が、私の力と完璧に結びついたのだ。人間と血族の狭間に生まれ落ちた「血契者」。致命の陽光さえ意に介さず白昼を歩き、鋼を裂く吸血鬼の膂力をも手にする存在。

「……この感覚。生まれ直したみたいだ」

 ビンセントは寝台の傍らに片膝をつき、治りかけの私の手首に...

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