第137章

しばらくしてから、彼は低く「……うん」とだけ答えた。声が少し掠れている。

「あなたにまでとばっちりが行くのが怖かったんだ。だって、前の件も……」

「大丈夫。私なら対処できるよ」

古川朱那はデスクを回り込み、ソファの椅子を引いてやる。

「とりあえず座って。お水、飲んで」

そう言って背を向け、コップに水を注いだ。

――分かってる。全部。

今日の態度で、もう答えは出ていた。

彼は自分に気持ちを向けてしまっている。

それ以外に、どう説明できるというのか。

けれど――だめだ。私たちは、だめなんだ。

朱那は一拍置き、彼の深い目を正面から受け止めた。

「緊張しなくていいよ。佐野爺さ...

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