第152章

「いい。具体的には?」

彼はそう返してきた。

古川朱那の胸には、もう答えがあった。

「母の名前を冠した新しい基金を作りたいの。本当に助けが必要な精神疾患の患者さんを受け入れて、治療と保護をするための場所を」

言葉を一度切り、彼女は続ける。

「太田徳次が残したあのひどい後始末……あれを逆に利用できる」

「いい。俺がやる」

画面に並んだ短い文字を見つめた瞬間、朱那の胸の奥がじんわり温まった。

――それから半月。

彼女の構想は、現実になった。

佐野一玄の仕事は、桁違いに早い。たった半月で、青山精神病院は見違えるほど生まれ変わっていた。

蔦に覆われ、ところどころ崩れていた塀は壊...

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