第155章

彼は、ようやく理解した。

古川朱那は――最初から、わざとだ。

希望をちらつかせておいて、やっと立ち上がったと思った瞬間に、容赦なく踏み潰す。

古川家が、絶望と希望の狭間で何度も引き裂かれ、もがき苦しむ様を眺めたいのだ。

なんて、えげつない心だ。

だが――どうしようもない。打つ手がなかった。

翌日。君嶋ホテル。

マイルズ夫人は長いテーブルの上座に優雅に腰を下ろし、目の前には企画書が広げられている。

古川礼和は横手に座り、表情だけは辛うじて体面を保っていた。

古川朱那は反対側の端。紅茶を手に、ひと口だけ静かに啜る。まるで他人事だ。

マイルズ夫人が古川礼和と細部を詰めている間も...

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