第164章

雨は今日、一日じゅう降り続けた。スタッフが撤収してそれぞれ帰路につく頃になっても、豪雨は弱まる気配すらない。

古川朱那は腕時計に目を落とす。もうすぐ0時。しかも雨。こんな時間にタクシーを拾うのは、相当待たされるだろう。

――最悪。

昼間、坂東真久を会社に戻さなきゃよかった。そう思って舌打ちしかける。けれどこの時間の渋滞はひどいし、今さら呼び戻すのも気が引けた。

そのとき。

中から周防天華が出てきた。レインコートでぐるぐる巻き、しかも両脇にアシスタントが二人。まるで一滴たりとも雨に触れさせまい、という勢いだ。

「お姉さま、迎え……来てないんですか?」

わざとらしく驚いた声を上げる...

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