第173章

彼は深く息を吸い込んだ。けれど頭の中のざわつきは、どうしても収まらない。

皆に落ち着くよう言って、手を取り合って策を練ろうとした、そのとき――視界の端に、部屋の隅の周防天華が映った。ずっと黙り込んだまま。しかも、様子が明らかにおかしい。

「天華、どうした。病院から戻ってきてから、ずっと上の空じゃないか」

古川礼和が眉を寄せ、探るように問いかける。

周防天華はびくっと肩を震わせて我に返り、手にしたコップを危うく倒しかけた。

――まずい。

彼女は無理やり呼吸を整え、平然を装って口元をゆるめる。

「ちょっと考えてただけ。私たち、そろそろ態度を示したほうがいいんじゃないかなって。……前...

ログインして続きを読む